第二一章 難攻不落 光軍大要塞

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氷龍の騎士アーリアは、なんとか生きて帰りついたが、部下のほとんどは返らなかった。
ダルディークの前に膝まずいたアーリアは、すでに死を覚悟していた。
ダルディーク「貴様、何をしたか分かっているんだろうな?」
アーリア「はい……分かっております」
ダルディーク「それでは、なぜ私の前に現れた」
アーリア「はい、自害する事も考えましたが、その前に一言ダルディーク様にお詫びをしたく……こうして、恥を忍んでまいりました」
ダルディーク「詫びはもういい。後は形で示せ」
アーリア「わ、分かりました」
ザーシュ「お待ち下さい、ダルディーク様」

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アーリア「ザ、ザーシュ?」
ダルディーク「なんだ、ザーシュ」
ザーシュ「おそれながらダルディーク様。確かにアーリアは命令を無視しました。しかし、それはダルディーク様を想えばこその行動」
ダルディーク「理由などどうでもいい。私の命令を無視したという事が問題なのだ」
ザーシュ「しかし、ここでアーリアが消える事は、ダルディーク様にとってもかなりの損失となりましょう」
ダルディーク「………………」
ザーシュ「もう一度だけ、このアーリアに機会を与えてやって下さい。もし、また勝手な行動を取ったならば、このザーシュの命にかえても……」
ダルディーク「もういい、分かった」
ザーシュ「………………」
ダルディーク「アーリアにはいま一度、機会を与えよう」
ザーシュ「あ、ありがとうございます」
ダルディーク「勘違いするな。アーリアにはまだ利用価値がある。ただそれだけだ」
つまりそれは、アーリアはまだダルディークにとって必要な存在であると言うことであった。

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アーリア「あ、ありがとうございます……」
改めてアーリアは、ダルディークに命を捧げる事を誓うのだった。


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大規模なアフロース追撃戦が始まった。
しかし、アフロースは要塞都市に立て篭り、まったく出てこようとはしなかった。

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巨大な要塞都市は、高く厚い塀に覆われており、いかにダルディークの大部隊でしても、城壁に傷をつけるのが精一杯であった。
まさに難攻不落の大要塞都市。
ダルディーク「しかし、得てしてああいう物は、中からの攻撃に弱いものだ」
ダルディークは、要塞都市付近に点在する村々を、次々と焼き払った。
さらに、村々を追われた難民を追い立て、要塞都市へと向かわせたのだった。

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兵士「大変です、指令官!」
アフロース「どうしたの? またダルディークの無駄な攻撃が始まったんでしょう」
兵士「ち、違います! 人です! もの凄い数の人が!」
アフロース「人?」
兵士「いま情報が入りました。ダルディークは付近の村々を次々に焼き払っているようです」
アフロース「なんて事を! この人たちは、その難民というわけね」
兵士「この要塞都市に向かっていますが、収容しますか?」
アフロース「ダメよ! その混乱に乗じてダルディークは、この要塞都市に入り込むつもりよ。それが奴の作戦だわ」
兵士「し、しかし…………」
そこに、偵察に出ていた兵士が駆け込んできた。
偵察兵「た、大変です! ダルディークは、難民たちを攻撃し出しました!!」
アフロース「なんですって!?」
兵士「む、無差別に攻撃しています! あれは虐殺です!!」
アフロース「な、なんという卑劣な事を!!」

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ダルディークたちの攻撃に難民たちはパニックに陥っていた。
悲鳴と怒号が飛びかい、人々は我先にと要塞都市を目指した。

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その難民の中に、ダルディークと黒龍の騎士ザーシュがいた。
ザーシュ「やはり、門を開きませんね」
ダルディーク「いや、開く。奴らは人の命というものを必要以上に尊重し過ぎる傾向がある。この殺戮を静観できるはずがない」
ザーシュ「しかし、この難民を助けようとすれば、それ以上の犠牲が出ます」
ダルディーク「そこが奴らの矛盾したところだ。多くの犠牲より、小数の命を救ったという行動の方が優るのだ」
ザーシュ「愚かな…………あっ! 開きます!」

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アフロース「全部隊を出して、門の守りを固めろ! 難民回収はそのあとだ!」
兵士「ダ、ダメです! なだれ込んで来ます!!」
アフロース「し、閉めろ! 門を閉めろ!!」

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ダルディーク「ハッハッー! 愚かな人間どもめ!」
敵の侵入にようやく気付いた兵士たちが、ダルディークたちに向かって来る。
ダルディーク「ザーシュ! お前はここで敵を食い止めろ! 私は門開閉の制御塔を占拠する!」
ザーシュ「分かりました! 御任せを!」


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アフロース「ダルディーク!」
ダルディーク「さぁ、門を開けてもらおうか」
アフロース「なにをふざけた事をっ! 卑怯な手を使って!!」
ダルディーク「だったら、門を開けなければよかったではないか」
アフロース「あんな殺戮を見逃せるわけがないでしょう!」
ダルディーク「その中途半端な優しさが、貴様らの愚かなところであり、弱点でもあるのだ」
アフロース「人間の優しさは真の優しさよ!」
ダルディーク「ならば、なぜこの要塞都市を明け渡さなかった。明け渡せば難民の虐殺は起こらなかったものを」
アフロース「なにを屁理屈を言ってる!」
ダルディーク「屁理屈か……まぁいい。力ずくでも、門は開けさせてもらう」
アフロース「やれるものなら、やってみなさい!」

(アフロースと戦闘→勝利)

アフロース「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
ダルディーク「所詮は女の剣よ」

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難攻不落と呼ばれた要塞都市。
しかし、ダルディークによってその門は開けられ、ここに闇の手に落ちたのだった。
最後の防衛線を落とされた光軍に残されたのは、王都のみであった。
ダルディーク最後の侵攻が、いま始まろうとしていた。