第二十章 疾風の三兄弟

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光軍の本隊の背後を塞ぐもう一つの拠点は、森に囲まれた城である。
その城には、疾風の三兄弟の威名をとる城主たちがいた。
その兄弟ならではの息の合った三身一体攻撃は、どんな敏捷に優れた者でもかなわないと言われていた。
いまその城に、氷龍の騎士アーリアが向かった。


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アーリアの前に緑色のよろいを着込んだ戦士があらわれた。
アーリア「あれが、疾風の三兄弟?」
疾風の戦士「邪悪な者め! 死ね!!」

(疾風の戦士と戦闘→勝利)

アーリアが止めを刺そうとしたとき、疾風の戦士は物陰に飛び込んだ。
アーリア「逃げるか!?」
アーリアが物陰に行こうとしたとき、後ろから隠れたはずの戦士が襲いかかってきた。
疾風の戦士「なにをしている、私はここだ!」

(疾風の戦士と戦闘→勝利)

アーリアが止めを刺そうとしたとき、またもや疾風の戦士は物陰に飛び込んだ。
アーリア「また!?」
アーリアが物陰に行こうとしたとき、今度は側面から隠れたはずの戦士が襲いかかってきた。
疾風の戦士「どこを狙っているんだ! 私はここだぞ!」

(疾風の戦士と戦闘→勝利)

アーリア「三人で攻撃するとは、ずいぶんと卑怯な事ね」

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疾風の戦士「ほほう流石だな」
アーリアの前に、三人の戦士が同時に姿を見せた。
アーリア「疾風の三兄弟……」
疾風の三兄弟「そう、我らの攻撃は三身一体。この攻撃をいままでにかわされた事はない!」
アーリア「三人がかりとは、随分と情けない事だこと」
疾風の三兄弟「何とでも言え! 薄汚い貴様たちより、よっぽどマシだ」
アーリア「薄汚い? この私に向かって薄汚いですって……」
疾風の三兄弟「ああ、そうだ! おまけに腹の中はドス黒いときてる」
アーリア「もう……ゆるせませんね」
疾風の三兄弟「ゆるさんのはこっちだ! くらえ、三身一体攻撃!!」

(疾風の三兄弟と戦闘→勝利)

疾風の三兄弟「おのれぇ、我々の攻撃をかわすとは……」
アーリア「口ほどにも無い人たちね。笑っちゃうわ、ホホホホ!」
疾風の三兄弟「グゥ……こうなったら同時に切りかかれ!」
疾風の三兄弟「弓矢は1回に1本しか射れん! 三人同時にかかれば、誰かが奴をしとめられる」
アーリア「とことん卑怯な人たちね。呆れるわ」
疾風の三兄弟「黙れ! くらえ、捨身の三身一体攻撃!!」

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疾風の三兄弟「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アーリアから三本同時に矢がはなたれ、見事、三人の急所をつらぬいた。
疾風の三兄弟「バ、バカな……」
アーリア「私もビックリよ。いままで、二本同時はあったけれど、三本同時は新記録だわ」
疾風の三兄弟は、アーリアの神業の前に敗れ去った。
アーリア「これでようやくダルディーク様のお役にたてたわ」


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氷龍アーリアによって森の城が占領された事によって、光軍の本隊包囲網が完成した。
アーリア率いる弓矢部隊は森の中に潜み、遠距離からの攻撃を開始した。

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ダルディーク自らが陣頭指揮をとり、光軍殲滅作戦が開始されたのだ。
ダルディークは敵を全滅させる為に、あえて攻め入ろうとはしなかった。
敵の三方面を囲んだダルディークは守りを固め持久戦に持ち込む。
光軍はこのままでは消耗するばかりと、攻撃を一点に集中し、包囲網突破を試みる。
しかし、どこかの一点に攻撃を集中すると、他の二点に背後から猛攻撃を受けるのだった。
その攻撃に対して反撃に出ると、今度は先ほどまで攻めていた敵に背後を襲われるという、悪循環を繰り返すばかりだった。
長い強行軍の疲れもあり、次第に光軍は消耗していくのだった。

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アフロース「ええーい、怯むな! 陣形を崩すな!!」
指揮官であるアフロースは懸命に指揮を取ったが、このままでは部隊が全滅するのは目に見えていた。
時がたつにつれて、焦りからか指揮官であるアフロースが、最前線に姿を見せる事が多くなってきた。
それをいち早く見つけたのは、氷龍アーリアであった。

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アーリア「あれは指揮官のアフロース!」
アーリア「アフロースさえ落とせば、こんな衰弱しきった部隊など……」

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ダルディーク「ん?」
ダルディークは思わず身を乗り出していた。
森に篭っていたはずのアーリアが森を飛び出し、敵の真っただ中に攻め込んだのである。
ダルディーク「バカな! 作戦はほぼ完了していたのだぞ!!」

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その変化に、アフロースも迅速に反応していた。
アフロース「しめた! 全軍、あの森を目指せ!! 一点突破だ!!」
光軍とアーリアの部隊は、正面から激しくぶつかった。
接近戦に弱い弓矢部隊は、次々と光軍に突破されていった。
アフロース「頑張れ! ここを突破すれば逃げきれる!!」

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この事態にアーリアは微動だにせず、ただ一点を弓で狙っていた。
アーリア「雑魚はいい、雑魚は。狙うは、アフロースただ一人のみ!」
射程距離にアフロースが入っても、アーリアはうたなかった。必勝をきすためには、もっと近づける必要があった。
狙われているのを知らずにアフロースは、ぐんぐんとアーリアに近づいて行く。
アーリア「いま! この距離なら絶対に外す事はないわ!!」
アーリアの手から矢が放たれたその瞬間、アフロースの馬が大きな石を踏み、激しく横に滑った。
アーリア「そ、そんな!!」

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アーリアの放った矢は横に外れ、アフロースのよろい肩部分に刺さっただけだった。
呆然と立ち尽くすアーリアの前を、馬にまたがったアフロースが駆け抜けていく。
それは一瞬の出来事であったが、アーリアにとっては永遠の時間の様に感じられた。
その間にもアフロースをはじめ光軍の生き残りが、次々と森の中へと姿を消していった。

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親衛隊員「このままではアーリア様の部隊は全滅します。救援の部隊を出しましょうか?」
ダルディーク「ほうっておけ!」
親衛隊員「し、しかし…………」
ダルディーク「全軍に退却命令……すぐにだ」
ダルディークはそれだけ言うと、さっさと城に入ってしまった。

アフロースの部隊は全滅を免れ、要塞都市へと逃げ込んだのだった。