シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件

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■ GAME DATA ■

シャーロックホームズ伯爵令嬢誘拐事件
『シャーロックホームズ伯爵令嬢誘拐事件』
メーカー:トーワチキ
発売日:1986.12.11
価格:5000円

■ GAME REVIEW ■

『大技林』掲載評価

キャラクタ(2.3/5) 音楽・効果音(2.3/5) お買い得度(2.1/5)
操作性(2.2/5) 熱中度(2.2/5) オリジナリティ(2.5/5) 総合(13.5/30)

何者かに誘拐された令嬢を捜しだすため、アイテムを集めて数々の難関を突破するアクションゲーム。タイトルを見るとアドベンチャーのよう。

■ STORY ■

序章 ……雨の中の訪問者

6月のある日、ロンドンの上にはすみきった青い空が広がっていた。昼食に近い朝食を取りながら、わたしは「デイリーテレグラフ紙」を開いた。
「おやワトソン君。チャールズ・フォックスワース卿が犯人をつきとめたそうだよ」
「えっ、あのデルタプリンセス号の殺人事件の犯人をですか?」
「向かいの部屋で殺人事件が起ったというのに、探偵が気づかなかったという事件だよ」
「ははは。なんとも言えませんな。ホームズ、君ならこの事件は、フォックスワース卿の半分の時間で解決できたんじゃないかい」
3分の1の時間で解けると言おうと思ったが─。
「ワトソン君、こりゃ昼から雨が降り出すな。予定していたケンジントンパークへの散歩はとりやめにしよう」
散策を楽しみにしていたワトソンは、わたしの言葉を信用しなかったようだ。午後1時過ぎ、突然の落雷が。それを合図にまさしくどしゃ降りの雨が降り出した。
ガラガラと騒々しい辻馬車の車輪の音が、玄関の前で止まった。どうやら、訪問者のようだ。フロックコートと上質のシルクハットを被った、いかにも品のよい老人が、居間に通された。
「はじめまして、ホームズさん。わたしは─」
「アップル伯爵の執事、ランコムさんでいらっしゃいますね」
ワトソンとランコム氏の驚いた顔がわたしに注がれる。
「いや、さすがに、ホームズさん。その通りです。では、もうすでに、あの事件のことはご存じで」
「ええ、コルディリア博士が絡んでいることも。しかし、詳しくお話しして下さるでしょうな」
「はい、ご当家自慢のご令嬢、マーガレット様が失踪されたのです。それと入れ違いにコルディリア博士から、脅迫状が届きました。『マーガレット嬢は当方の手の下にある。命がおしければ、警察には知らせるな。そのかわり─』」
「シャーロック・ホームズに事件を依頼しろと書いてあったのでしょう」
ランコム氏の信じられないといった顔つき。それを無視してわたしは象牙の箱から、茶色い封筒を取り出した。
「今朝、届いた郵便物です。わたしにマーガレット嬢を救えるかという、コルディリア博士からの挑戦状なのですよ」
モリアティ教授亡き後、犯罪界に君臨するコルディリア博士─。どうやら彼はわたしを負かすことによって、モリアティ教授以上の大物だと世に知らしめたいらしい。
マーガレット嬢が失踪したいきさつを詳しく述べた後、ランコム氏は涙を浮べながら、
「くれぐれもお願いします」
と頭を下げて退場した。
ふふん。功名心の強い人間など、たいしたことはないさ。しかし、わたしは捜査の始めから、この言葉を後悔することになった。


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