第九章 大神官サラ

フェルナスには一人の姉がいた。
この島でも指折りの神官であり、人々に愛され、崇拝されている大神官サラ。彼女がフェルナスの姉である。
そのサラがいるフーラル寺院に、傷ついたフェルナスは落ち延びていた。

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そしていま、ダルディークはフーラル寺院へ侵攻を開始した。


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ダルディークは大神官の部屋にたどり着いた。
しかし、話は少し前に戻る…………

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サラ「大丈夫ですか、フェルナス」
フェルナス「ク……な、なんとかね」
サラ「無理をして。凄い脂汗ですよ」
フェルナス「意地悪だな、姉さんも……痛たたた! もっと優しくしてくれよ」
サラ「ファーナさんのように?」
フェルナス「な、何を言い出すんだよ!?」
サラ「フフフ……照れちゃって」
フェルナス「まいったな、まったく、痛たたたた……笑うと痛いよ」
サラ「本当にファーナさんは優しい…………」
フェルナス「ん? どうしたんだい、姉さん?」
サラ「え? 感じないの?」
フェルナス「何がだい?」
サラ 『こんな巨大な邪気に気付かないなんて、予想以上にフェルナスの傷は深いんだわ……何とかしなくては』
フェルナス「姉さん?」
サラ 『ダメだわ。いまのこの子には、ダルディークを倒すどころか、簡単に殺されてしまう』
フェルナス「…………」
サラ「フェルナス」
フェルナス「な、何だい、いきなり真剣な顔になって……」
サラ「新しい魔法を試してみたいんだけど」
フェルナス「え? 俺が実験台ってわけ?」
サラ「大丈夫よ、すぐに済むから」
フェルナス「すぐに済むって言っても……ね、姉さん!」
サラの手から温かい光が溢れ出し、みるみるフェルナスの身体を包んでいく。
その光は、まるで昼下がりの温かい陽光のようであり、その瞬間フェルナスは、もの凄い睡魔に襲われた。
フェルナス「ね、姉さん…………」
サラ「御免なさい、フェルナス……あなたをここで死なせるわけにはいかないわ」
フェルナス「ね……姉……さん…………」

サラ「あなたは私たちの希望の光。真の闇に打ち勝てるのは、あなただけなのよフェルナス」
サラはゆっくりと崩れ落ちるフェルナスの身体を優しく抱きかかえると、僧兵たちにフェルナスを預けた。
サラ「いまならまだ脱出できるでしょう……私が時間をかせげればですが…………」
それからしばらくしての事だった。ダルディークがこの部屋に入って来たのは……。

(大神官サラと戦闘→勝利)

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ダルディーク「部屋に入った途端の奇襲攻撃。女ながら、なかなかだったな」
サラ「クゥ…………」
ダルディーク「貴様がフェルナスの姉、大神官サラだな」
サラ「フェルナスはもう居ないわ!」
ダルディーク「どうやらそのようだな」
サラ「あなたにフェルナスを渡すわけにはいかない」
ダルディーク「フェルナスが唯一の、光の剣の使い手だからか?」
サラ「そ、それをなぜ?」
ダルディーク「フフフフ、確かに正しい選択の様だ。しかし、その自分の身を挺した行動が、裏目に出る事を知るがいい」
サラ「どういう意味なの?」
ダルディーク「すぐに分かる……連れて行け!」

大神官サラまでもが、捕らわれの身となってしまった。
その事は、目を覚ましたフェルナスの耳に、衝撃と共に入ることとなる。
フェルナスは、サラを命に代えても助け出す事を誓うのだった。