シャーナックの森の地下には二つの迷宮がある。
一つはヴァームが逃げ込んだ、森の砦に続く迷いの迷宮。そしてもう一つは、エルフの村へ続く迷宮である。
その迷宮の入口を前にして、ダルディークは黒龍の騎士ザーシュを呼び寄せた。
ダルディーク「エルフの村を見つけたら、密かにその村を包囲しろ」
ザーシュ「分かりました」
いまダルディークは、迷宮を通りエルフの村を目指す。
長く暗い迷宮の先に、エルフの村はあった。
村へ入るダルディークの後ろに黒龍ザーシュも続く。すると、二人の前に、エルフの長老が立ちはだかった。
エルフ長老「邪悪な者よ、この村になに用があって来た」
ダルディーク「魔法を、シャーナックの迷宮にかけた魔法を解いてもらおうか」
エルフ長老「それは不可能じゃ。あの魔法は、もはや誰にも解く事は出来ん」
ダルディーク「なるほど……」
そこに黒龍ザーシュが、エルフの娘をつれてやって来た。
ザーシュ「長老の孫娘です」
エルフ長老「ムムッ…………」
ダルディーク「長老よ、もう一度聞こう。魔法の解き方は?」
エルフ長老「何度言っても同じじゃ。あの魔法は解けん」
ダルディーク「ほう……では、これでもかっ!?」
孫娘「きゃあぁぁぁぁ!!」
エルフ長老「ひ、卑劣な事をっ!」
ダルディーク「魔法を解く気になったか?」
エルフ長老「何をしても同じじゃ! あの魔法は誰にも解けん!!」
ダルディーク「…………」
ザーシュ「ダルディーク様、本当にあの魔法は解けないのでは……」
ダルディーク「そう思うか?」
ザーシュ「え?」
ダルディーク「流石は長老だ。この分では何をやっても喋らんだろうな」
エルフ長老「…………」
ダルディーク「しかし、貴様にだけ喋らす必要はない」
エルフ長老「なんだと?」
ダルディークは剣を抜き、エルフの長老に振り下ろした。
エルフ長老「グハッ!」
鈍い音がして、ダルディークの剣は長老の肩に食い込む。刃を寝かせていた為に身体は切れなかったが、老人の身体にはかなりのダメージのはずだ。
エルフ長老「む、無駄じゃ……たとえ殺されても、あの魔法は解けん」
ダルディーク「貴様に聞く必要はないと言った……今度は、殺す」
さらにダルディークの剣が振り上げられ、長老の頭めがけ下ろされる。
孫娘「やめて!」
長老の孫娘がダルディークと長老の間に割って入った。
ダルディーク「どけ」
孫娘「やめて下さい! 魔法の解除方法なら、私がお話します!」
エルフ長老「や、やめるんじゃ!」
ダルディーク「貴様は黙っていろ。それで、その方法とは?」
孫娘「この宝石を迷宮の行き止まりで使えば、新たな道が開けます」
ダルディークはエルフの宝石を手にいれた。
エルフ長老「あぁ…………」
ダルディーク「魔法は誰にも解けないとは、よく言ったものだな長老」
エルフ長老「………………」
ダルディーク「…………ザーシュ!」
ザーシュ「はっ!」
ダルディーク「この村に火を放ち、全員…………殺せ」
ザーシュ「分かりました」
エルフ長老「な、何をっ!」
孫娘「そんな酷い! 魔法の解除方法を教えたじゃないですか!」
ダルディーク「だから、なんだ? そんなものが殺さない理由になるとでも思っていたのか?」
エルフ長老「お、おのれぇ……」
孫娘「も、もう……ゆるさないっ!」
エルフ長老「や、やめるんじゃ!」
(長老の孫娘と戦闘→勝利)
孫娘「あぁ……」
エルフ長老「だ、大丈夫か」
ダルディーク「貴様らは、何があっても闇に従うという事はないだろう」
エルフ長老「あ、当り前じゃ!」
ダルディーク「だから殺すのだ。反乱の芽を摘み取るのは早い方がいい」
エルフ長老「ク、クゥ…………」
こうして村は燃やされ、エルフたちは全員殺された。
この話は、エルフ村の惨事として、語り継がれる事になる。