第二四章 亜空間からの脱出

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ダルディーク「久しぶりだな、フェルナス」
フェルナス「ファ、ファーナ!」
ファーナ「ああ、フェルナス……」
フェルナス「貴様ぁぁぁ、卑怯なまねをぉぉぉぉぉ」
ダルディーク「怒るのは後にしろ、今はラームの鏡が先だ」
ファーナ「ダメよ、フェルナス! 鏡を渡してはダメ!!」
ダルディーク「……と、言っているが、どうするフェルナス? 見殺しにするか?」
フェルナス「おのれぇダルディークぅぅぅぅぅぅぅ」
ダルディーク「貴様に選択の余地はない。さぁ、自らの手でその鏡を割るのだ」
ファーナ「ダメェェェェ、フェルナス!」
フェルナス「………………」
ダルディーク「どうした? 貴様には時間も無いのだぞ」
フェルナス「わ、分かった……鏡を……」
ファーナ「ダ、ダメよ! 私はどうなってもいいの! だから鏡を使って! 早くその鏡でダルディークを!」
フェルナス「…………ダ、ダメだ! 俺には出来ない!!」
ダルディーク「フッ! だろうな」
ファーナ「フェ、フェルナス……」
フェルナス「す、すまないファーナ…………」
ファーナ「フェルナス…………さようなら」
フェルナス「え?」

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フェルナス「ファーナ!!」
ダルディークが剣を引くより一瞬早く、ファーナは自らダルディークの剣に身を投げた。
ファーナ「あぁ……フェルナ……ス……」
ダルディークの腕の中でファーナは力なく崩れて行く。
ダルディーク「チッ! ……死に急ぎよって」
フェルナス「ファ、ファーナァァァァァァァァァァァ!!」

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ダルディーク「フェルナスよ。これが人間の言う優しさか? これが本当の愛なのか?」
フェルナス「………………」
ダルディーク「フン! こんなものは見せかけにすぎん。絵に描いた花と同じだ」
フェルナス「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁダルディィィィィィィィィクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
ダルディーク「…………なにぃ」
フェルナスの身体を青白い光が包む。いや、ラーム鏡が輝き出したのだった。
フェルナス「ダルディーク! ゆるさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

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ダルディーク「ムゥ!」
フェルナス「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラームの鏡から放出されたまばゆい光は、一直線にダルディークへと突き進む。
ザーシュ「いかん! ダルディーク様をお守りしろ!!」
四龍の騎士は、とっさにダルディークを囲む。そこへラームの鏡の光が、直撃した。

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ダルディーク「ヌグウゥオゥ!」
四龍の騎士「グワァァァァァァァァァァァァ!!」
ダルディーク「こ、これが……ラームの鏡の……力……か!」
ダルディークは、身体が何処かへ引き込まれるのを感じた。
四龍の騎士共々、ダルディークの身体がゆっくりと消えていく。
ダルディークが最後に聞いたのは、フェルナスのファーナの名を呼ぶ悲痛な叫び声だった。

ダルディークが気が付くと、そこは別の次元、亜空間の世界だった。
ダルディークは脱出路を見つけるべく、己の先に続く亜空間の迷宮へと足を踏み入れる。


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開けた場所に出ると、四龍の騎士が集まっていた。
ザーシュ「ダルディーク様、御無事で!」
ダルディーク「ああ、お前たちも無事な様だな」
ザーシュ「ところでダルディーク様、ここはいったい……」
ダルディーク「どうやら違う次元に運ばれたらしい」
ザーシュ「なんとかして脱出しないと」
ルーラ「それよりも、脱出なんか出来るのかしら?」
ダルディーク「入る事が出来たんだ。出る事が出来ないわけはない」
ラーディス「それじゃあ、早いとこ出口ってやつを探さないと」
アーリア「そう簡単に見つかればいいんですけど……」
ダルディーク「いや、どうやら簡単に見つかりそうだ」
ザーシュ「え?」
ダルディーク「あそこの空間に歪みを感じる。あそこへ全員の空間転移の魔力を集中すれば……」
ザーシュ「さっそくかかりましょう」
ダルディーク「よし」

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ダルディーク「ぐぅうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
全員の魔力が一点に集中したとき、空間がねじれ、先ほどまでいた城内の風景が見えてきた。
ダルディーク「よぉぉぉし……お前たちから先に戻るんだ」
ザーシュ「いえ、ダルディーク様から」
ダルディーク「いいから行け! お前たちでは、この空間を意地するのは無理だ」
ルーラ「し、しかし…………」
ダルディーク「早くしろ! もうもたん……」
ザーシュ「分かりました。急げ! みんな早く出るんだ!」
ルーラ、アーリア、ラーディスと続きに、最後にザーシュが亜空間を脱出する。
ザーシュ「ダルディーク様、急いで下さい!」
ダルディークが亜空間を出ようとしたとき、空間の穴が閉りだした。
アーリア「危ない!」

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とっさにアーリアが歪みに飛び込んだ。そして、ダルディークの腕を取ると、思い切り身体を引っ張り出した。
しかしその反動で、逆にアーリアが亜空間の歪みに挟まれてしまった。
ダルディーク「アーリア!」
しかし、もうダルディークの腕はアーリアには届かなかった。
アーリア「ダルディーク様! 世界を、世界をお取り下さい!」

ダルディーク「アーリア…………」
アーリアの姿は、空間のねじれと共に消えて行った。